成り代わりとは恐ろしいもの

いくら夢女だからって成り替わりに実際あったら、どうすりゃいいんだ。頭には私が知り得ない演技や舞台の情報が入っていて、でもそこまでカレー狂いではなく…。顔もそのままヒロインって訳ではないが…。いや、そんなことより!!そのヒロインに最初から好感度マックスの男の子とどう顔を合わせたらいいんだよ…。

好きなゲーム、最初の方でドキドキしながらさわったストーリー。そこに私が入っていいのか。今真っ青になっている。
春組のメンツが揃い、夕ご飯を作り直している所。今日を無意識に振り返っていたが、真澄君がストーリー通り一目惚れではないが、なんやかんやで入ってくれて胸を撫で下ろしていたのだが

一目惚れする程のヒロインとの出会いを私が台無しにしてるんじゃね???

という事実に気づき、とりあえず謝罪したくなってきた。
いただきますの後。

「真澄君、今謝っておく、ごめん」
「……何に対して謝ってんの?」

怪訝な顔の真澄君にソファの上で土下座しておく。

「いや…なんというか…君好みのお姉さんでなくてごめんと思って」
「唐突に何言ってんすか監督…」
「綴君ドン引きしないで!!そりゃ変な事言ってるとは思うけど、…私よりもっと可愛いカレー好きな女性が監督だったら真澄君…もといみんなオールハッピーだったかなと思って。あ、ギャルゲーではなく」
「カレー好き…?他にも監督候補の方がいらっしゃったんですか…?」
「えええ!?そんな話聞いてませんよ!?」
「あはは」
「笑い事じゃないですよ!!?監督!!」
「…それにしてもぎゃる…?何ですか?」
「……何だろうね?」

至さんはまだ猫を被っている。

「ギャルゲー、それはワタシの故郷で必須科目だった授業だったネ…」
「あ、あの廃人排出FPSゲーと並んでですか?」
「オー!監督、何故知ってるネ!?」
「…!」

至さんが反応した。後で話しておこう。お前の本性は知っていると…。

「話、脱線しすぎじゃないすか?」
「綴君、ありがとう…。ありがとう…。」
「えーと、何て話でしたっけ」
「私より可愛い女性監督。だったら。よかったね。三行で戻すよ」
「オー、監督はそのままで十分可愛いネ〜心配することないヨ?」
「う、うわああんシトロンくん〜〜ええ子や…」

他の4人はいいんだ。まだ。サイコと化する程の一目惚れをしてたハズの真澄君にはマジでいづみちゃんを見つけてくっつけてやりたい程だ。…いづみちゃん。…立花ナマエの代わりにどうなってしまったんだ…。

「真澄君…!君が一目惚れするくらいの女性、全国公演で見つけようね…!」
「全国…!」
「大丈夫、このメンバーなら全国公演も夢じゃないよ!」
「この劇団大丈夫か…?」
「帰らない帰らない。さぁご飯食べよう」

立ち去ろうとする真澄君の足にしがみつく成人女性の図。…これが真澄君に対する私の罪滅ぼしである。

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「…真澄君、あの子可愛くない?あのロングヘアのお姉さま」
「却下」
「そうかー、あ!!あの一生懸命そうな女の子はどう?」
「無理。……アンタ、俺が何も知らない相手に一目惚れするとでも思ってんの」
「真澄君の口からそんな言葉が聞けるなんてな…あはは。あー!あの子は!!?」
「ストリートACTで真澄のナンパ相手探すのやめて下さい!!監督!!!!」
「折角演技は良いのに…」
「まあなあ…って監督の事褒めてんのか?」
「……」
「是非MANKAIカンパニー春組公演をよろしくお願いします!可愛いお姉さんに限らないので!!是非!!」

「なんか面白いねー貰っとこっかチラシ」
「ありがとうございまーす!」