ゲーム中の女主人公だけど、容姿・格好は読者さんの自由
攫われたお兄ちゃんを探して何千里中
パイモンと意気投合するくらいには食いしん坊
璃月港でタルタリヤとばったり遭遇したナマエ。タルタリヤは「やあ、相棒」といつもの腹の底で何を考えているか分からない笑みを向ける…かと思いきや、疲れ切った表情をしていた。
「どうしたの、タルタリヤ?心底疲れたような顔して、……まさか」
パイモンを連れたナマエは思い当たる節があるのか、口元を手で覆った。
「週一回は魔王武装で戦ってるから…怪我が悪化した?」
「本当か、タルタリヤ!?…ナマエが聖遺物や紀行のためにボコボコにしてるせいで……、病院に診てもらったのか?」
「ごめんね、タルタリヤ、毎回戦うのが楽しそうだし、大丈夫そうかなって思ってたけど、負担だったよね…これからは黄金屋へ通うのは…」
「ストップ、ストップ!」
向かいの二人が、想像を膨らませ、果てには瞳を潤ませ始めたので、タルタリヤは手を叩いた。
「……はあ、いつも君らって想像力が豊かだよね」
「あれ?違うの?じゃあ良かった!週一戦闘が続けられる…!」
「じゃあ、何でそんな疲れた顔してんだ?」
やっと最初の話に戻る。タルタリヤはこの時「まあ、週一魔王武装も負担っちゃ負担だけど、ナマエと戦うの楽しいから黙っておこう」と思ったそうだ。
「……ファデュイが璃月港の復興を手伝いすることになってね」
凝光さんを筆頭に町の人にこき使われているタルタリヤを思い浮かべる二人。そりゃあまあ、仕方ないよなとお互いに顔を見合わせ頷いた。
「なるほど。魔神を呼び出した当の本人は大忙しってことだね」
「そうか、ま、頑張れよー」
「君ら酷くない?」
タルタリヤの脇を抜けて去っていこうとした二人。タルタリヤは戦い中のごとくぬるっと先回りし、行く手を塞いだ。
「まあ待ってよ。……相棒たちも手伝ってくれないか?」
「えー、お手伝いはちょっと…ねえ?」
「何か見返りがないとなあ?」
意気投合している二人はちら、と体よくそこに佇む高級料亭に視線を向けた。食い意地の張った二人に苦笑いするタルタリヤ。
「分かった、好きなだけご馳走するよ。…じゃ、今から言う資源を集めてもらおうかな」
「やったー!パイモン、頑張るぞ!」
「おうよ!相棒!」
手を挙げて喜ぶ二人を目を細めて眺めていた所、ある言葉にタルタリヤが首を傾げた
「相棒?」
じっと見つめてきたタルタリヤに、「おう、ナマエの相棒はオイラにしか務まらないからな!」とえへんと胸を張るパイモン。
「そういやタルタリヤって私の事「相棒」って呼ぶよね、そんなにいつも一緒にいる訳じゃないのに」
ズバッっと言葉を発するナマエに、タルタリヤは笑みを深める。
「そうか、いつも一緒に……ね」
「オイラ、猛烈に嫌な予感がしてきたぞ…」
ナマエの腕にしがみついたパイモン。ナマエが今度は首を傾げることに。タルタリヤは良い考えを思いついたごとく、ハハッと笑った。
「……そうだ、仕事を手伝ってくれたお礼は「俺が仲間になること」にしよう!」
「えっ、いいです…。ご馳走がいいです…」
タルタリヤ、完全に沈黙。「あれっファデュイの公子、女の子に振られてない……?」と町民が遠巻きでひそひそ話をしだした。
やっと我に返ると、タルタリヤはナマエの肩を掴んだ。
「君って本当「食」一辺倒だね!?凄く強いこの俺が仲間になってあげるのに!!」
「ええ…でもファデュイの仕事の合間に私達と旅するって無理でしょ…」
そこらへんはなんとかする、残業も辞さない覚悟である、と真剣な目を向けるタルタリヤ。震えていたパイモンが「そういうことか!」と声をあげ、タルタリヤの眼前に飛び出した。
「お前、ナマエの相棒の座を狙うつもりだな!?」
「フ…戦えない君がナマエの相棒だなんて本当に言えるかい?共に戦い、傍に居られる俺こそナマエの相棒に相応しいんじゃないかな?…それに、こんな非常食に「敗北する」なんて俺のプライドが許せない」
「なにを~!!オイラだってお前の知らないナマエのあんなことやこんなことも知ってるんだぞ!」
「ッ……!?」
ナマエの相棒の座争いを始めたタルタリヤとパイモン。ナマエは蚊帳の外で、そっと手を挙げた。
「あの、タルタリヤさんご馳走は…」