放課後、少し校門で待ってもらった後合流した。顔見知りの生徒ができたことから、校門の脇を通る子達から時たま「ナマエちゃん、バイバ〜イ」「樺根と一緒なんだ、物好きだね」と声がかかる。それに手を振り返したり、反応している中、樺根君が感嘆の声をあげる。
「うちの生徒たちとよく打ち解けられましたね」
「そうかな?」
さんかく公園へ向かう足取りは軽い。生徒の波も途絶えていき、今度は黒い学ラン、セーラー服に変わっていく。私立中学に近づいている。
「えぇ、並盛から風紀委員がくると聞いて、僕みたいな生徒はみんな怖がってましたよ。不良たちも殺気立ってましたし…。でも、まさか、ナマエさんのような気さくな方が来るとは思ってませんでした」
「まあ…大体リーゼントの不良っぽい子達だからね。親しみを込めて接してもらえて嬉しいよ」
先生や生徒から話を聞こうにも、なかなか心を開いてもらえず、素っ気ない態度ばかりとられていた。そこで事件解決のためにも黒曜中の内部に介入することにした。簡単に言えば、彼らの困り事を解決していった。落書きだらけの壁、汚れた校内は委員会のメンバーを連れてすべて綺麗にしたし(屈強な面子を揃えたので、また汚さないように抑止力になったと思う)学食を新たに改装して、安くて健康的なメニューにするようにした。目に余る不良やいじめっ子には陰で力による制裁を加え、従順になるようにカウンセリングや生活のサポートもしている。(それは公にはしていない)
その効果もあり、学内も前よりは雰囲気が良くなった。その内、不良校がいい方へ変化しているとテレビ局を連れてきて取材もさせようと思っている。先生方も鼻高々だろう。恭弥は委員会の人員を割いていることを快く思っていないようだが、恩を売っておいて損はないと思う。
さんかく公園へたどり着くと、すでに凪ちゃんが黒猫を撫でていた。
「凪ちゃん」
凪ちゃんが顔を上げる。樺根君を見て目を丸くした。髪型に驚いているのだろうか。それとも男性だから?樺根君も彼女を真剣な表情で見つめている。樺根君が顎に手を添えて口を開いた。
「彼女を見ていると親近感が湧きますね」
「…樺根君ってナンパする系の人だったの…?」
思わず凪ちゃんをかばうように壁を作る。
「違います。僕が好感を持っているのは君ですよ」
「やだ、告白されちゃった…。照れちゃうね」
とんだ茶番である。凪ちゃんが引いてる!と思いきや、私の横からにゅっと顔を出して、樺根君をまじまじと見つめた。
「私も…なんとなく、似てる気がした」
「えっ、二人は惹かれ合ってる?運命の相手?私邪魔か?あとは二人でごゆっくり…??」
「進展しすぎでは」
「いいね樺根君、ツッコミの才能があるよ」
二人のお互いの印象を聞いて私の気分が上がってしまった。
「仲人さんになってしまったなあ、くろちゃんよ」
「ナマエさん、凪さんが困ってますよ。そのネタを引きずらないで下さい」
「ごめんよ。凪ちゃん、こちらは樺根君。不良じゃない黒曜中の人だよ。よく仲良くさせてもらってるんだけど…、急に連れてきて驚いてるかな…?」
「ううん」
「よろしくお願いしますね」