「これがディビジョンバトル、ですか…」
「乗り気では無さそうだな、嫌いか?」
ちょっとした、男を使った潰しあいの陣取り合戦ゲーム。一回戦のDVDを見せていたが、彼女は面白く無さそうにラップを見つめている。あまり興味が無さそうだった。
興味があればVIP席での観覧に招待しようと思っていたが、興味の無いものを無理に誘っても仕方がないし、むしろそちらの方が彼女らしくて良い。
「はい、…ちょっと怖い、と思って。ごめんなさい、政府主導のイベントなのに」
「そうか。…ナマエはそれでいい」
頭を撫でると、「無花果さん、最近私を撫でるの好きですね」弾んだ声が返ってきた。
「ああ、ナマエは撫で心地がいいからな」
「本当ですか?」
「あぁ」
彼女のさらさらの髪を手でとかす。プレゼントしたシャンプーの良い香りが広がる。私好みの香り。
彼女が興味がないなら用済みだ、とプレイヤーの電源を切り、ソファの隣のナマエを見つめる。ディビジョンバトル。野蛮でくだらない企画ではあるが、しばらくは続けてもらわねばならない。
「そうだ、無花果さん!今度のお休み、どこ行きましょう。リサーチしてたんですよ」
机に観光イベントの雑誌を広げ出すナマエ。今度の休みは二人で1日デートをしようと企画された。恋人の可愛らしい頼みを断る選択肢はなく、二人でどこへ行くか計画し合っている。
既にナマエの存在は会見で公言している。同性の恋人で、婚約関係にある事。彼女の姿を晒す事はしていないし、この中王区でそのような事をする輩はいない。