鯰尾藤四郎「例えば、一度別れたとして」

「ナマエってば起きて!」

夢見が良かったのですぐに起きたくない気持ちを分かってくれ。まだ余韻に浸りたいし、あわよくば夢の続きが見たかった私は素直に起き上がらず、布団の奥になりを潜めた。

「学校遅れるよ?」

学校よりも今、この時が大事だろ!と熱い誰かが代弁してくれている。その通りである。

「折角、ヒロインが起こしに来たのになあ…。あ、でもなかなか起きないのが王道?」
「ヒロイン鯰尾…」

体を揺さぶられる。ヒロインという言葉に起きあがった。横を向くとヒロインでは無く、学ランを着た幼馴染がそこに。

「セーラー服じゃねえじゃん…」
「何言ってんの?夢の続きでも見てる?」

目をこすりながら悲しみを口にすれば、呆れた顔をされた。ポニーテールの彼は隣の家の鯰尾。小さい頃からの腐れ縁である。
親には顔パスで年頃の娘の部屋にあがりこめる程には滅茶苦茶近しい存在である。