「てつがくするさにわ」

 刀剣を戦に出す以外では基本的に審神者のやることはない。短刀と遊んだり、畑仕事、料理したりはするけれど、それは嫌々やっている訳ではないので、やらなきゃいけないと感じる「使命」はそれだけ。

 後はごろ寝したり、データ化された書籍などを知識として頭にいれるのみ。政府への報告はどこからか監視でもしている、こんのすけに任せている。
 暇を持て余した人間は考えることにした。すぐに浮かんだ議題は「幸せについて」だった。審神者になって、幸せとはなんだったんだろうなあ、と思うことが多いのだ。
 世は歴史が変わり、忽然と消えゆく人が増えているらしい。よく分からない死に方、恐怖。あるいは苦しみのない終わり方か。
 そんな世の為にと身を捧げた私だったが、謎の場所に連れてこられ、時間と共に増えていく資材で刀剣を鍛え、使役し、敵と戦わせている――。むちゃくちゃである。
 しかし、政府からの説明もあまりなく、よく分からないまま美麗な刀剣達と生活を共にしている。付喪神ってんだから、神様で、きれいすぎて恋をするでもなく、遠い存在として敬っている次第。
 日々はとても穏やか。ここに来る前よりほのぼのとしているんじゃなかろうか。だって前は学業、その後は仕事に忙殺されていたように思える。
 だからこそ今が、幸せなのだろうか?
 しかし、実際は彼らを謎の敵と戦わせている。自分たちを使った人間を守りたいと言っている神様たち。彼らに全て押し付けて、けがを負わせた、依代を折らせたこともあった。それなのに笑顔で「大丈夫」と言うのだ。
 幸せとは…。