ハイキュー影山飛雄「天才とは」

 比較的おとなしい部員たちで構成された、北川第一中学の新聞部。入部早々、やはり彼らと同じようにおとなしい私は、男子バレー部について取材する係を命じられた。

 今までの学内新聞でも毎回バレー部のコーナーがあるくらい、うちの学校の男子バレー部は強くて有名だ。その中でも特に及川徹という人がすごい。
なにせ、甘いマスクの天才プレイヤーである。バレー部の記事もいつの間にか彼の記事なのでは、と錯覚するぐらい、彼がメインに書き綴られてある。つらい。噂、部活代表のあいさつとか、過去の記事、写真からの印象だと、手の届かない雲の上のイケメン、というような印象しかない。こわい。そんな訳で、おとなしい私たちの中に、バレー部の取材、…及川先輩に話を聞きに行く度胸のある者がいなかった。勿論今年入ったばかりのぺーペーである私も、やれる気がしていない。去年までは三年の先輩がバレー部特集を担当していたようで、今年になってなり手がいないことが問題になっていた。
 だが、現在の二年、三年の先輩方が一年生にやらせようと面倒ごとを押し付ける事で結託していて、女子なら絶対うれしいだろ!?そうだろ!?という謎の押しに従う他なかったので、こうして体育館までカメラ片手に泣く泣く取材にきた次第。
 とりあえず締め切りギリギリまで待った上で覚悟を決めて、部活の始まる前の体育館に入ろうとした。入口の時点で帰りたくなる光景が目に入った。女の子達がすごい、入口の前で待機している…!人が通れるように入り口を開けて、左右に別れてはいるが、この中をズカズカ入っていく勇気がない。しまいには及川先輩の取材だ。彼女達の視線の針の筵が予想できる。でも今後の為にもそういう度胸をつけていかないといけないのかな。だって男子バレー取材担当を完全に任されたし…。

 彼女たちから離れた所で唸っている私を、訝し気な目で見る男の子の存在に気づいた。ジャージを着ている。同じクラスにいたような顔をしている。目つきが悪い。彼は…確か、かげやまくん、だっけか。クラスの自己紹介での名前を思い出している中、彼は尖らせた口を開いた。

「何してんだよ」
「え?あー…バレー部の取材にいきたくて…」
「シュザイ?…入口開いてるけど」
「それは分ってるよ!…分かってるけど」

 一から事情を説明したかったが、詳しく説明する暇は彼にはなさそうだ。今から部活に行く感じだ。首を傾げる彼に、「かげやまくん、バレー部だったりする?」唐突に聞くことにした。多分、彼、バレー部だよね。