おいミク バレンタインネタ

訓練がてらのクエスト帰り、休憩の為に屋敷へ帰還。†漆黒のソーディアンマスター†として板についてきたのでは?ミクにそう言ってみたら鼻で笑われた。
台所を通った時、甘い香りが漂ってきた。これは…いる!後ろを向いて作業をしているヒューゴさんに声をかけ、何を作っているのか彼の手元を確認する。

「おお、チョコレートだ。それと…メレンゲ?」

湯煎してあるチョコレートから目線を移す。ヒューゴさんはパティシエばりのスタイリッシュな泡立て方でメレンゲをさらにふんわりさせていた。

「ああナマエちゃん、お疲れ様」
「お疲れ様です。ヒューゴさん、これはもしや…ガトーショコラですか?」

私に気づき、柔らかい笑顔を浮かべるヒューゴさん。(ひらひらエプロンと三角巾装備)包容力を感じるその恰好にようやく目が慣れてきている。
溶かしたチョコにメレンゲときたら、チョコケーキ…いや、ガトーショコラかな?と聞いてみると、ヒューゴさんは深く頷いた。もはや行き倒れの設定を軽視しすぎているな、私。

「そうだよ!よく分かったね」
「クリスさんのご希望ですか?」
「あぁ、今日はバレンタインデーだから」
「そうなんですか?」

バレンタインデーがこの世界もあるらしい。女の子たちも色めき立っていたのはそのせいか。

「我が家はヒューゴさんがバレンタインチョコをクリスさんに贈るんですね」
「ああ、照れくさいけどね。彼女が食べてる姿が見てるのが幸せだからね…」

クリスさんへの愛情が深い。あまりの愛妻家っぷりを見せつけられ、なんだか叫びたくなってきた。ミクもさっきから終始無言。そういやクリスさん、この間こんな事言ってたっけ。

「得意な人にやってもらわないと。スイーツに関しては私は食べる人なの!」

クリスさん語録が増えていく。
アッ…バレンタインときたら、リオン君大丈夫かな。絶対女の子たちに囲まれてるだろうな。囲み取材ばりに。

「そういやリオン君、チョコレートもらって帰ってくるんですかね。凄い人気でしょうけど…」
「リオンが今までチョコを持って帰ってきたことはないね」

子供を案じてか目を細め、「あの子はシャイだからなあ」と呟く。確かに、シャイっちゃあシャイ。でも面倒だから~とかもありそうだけどね!赤の他人の作ったチョコレートなんざ受け取れるか!!とも思ってそう。我ながらひどい。
ミクの場合バレンタインってどうだったのーと聞こうとしたが、ヒューゴさんやクリスさんの歴史の授業で教わっていた。天地戦争時代、そんな余裕ないだろうな…。それでも聞いてみたい。

「……ミク」
『何だ?』
「ミクは、バレンタイン、なんか、…ほしい派?」
『お前が?私に?物は食べられんぞ』

た、確かに。ヒューゴさんのガトーショコラをあげることができない…。勝手に人の作ったものをあげるのがどうかしてるのはおいておく。

「……じゃあ、女の子たちからキャーキャーされたら嬉しい?」
『煩わしいに決まっている』
「そうか…」
『何の質問だ、これは』
「バレンタイントークがしたかったんですよお。……ミクが日頃頑張ってくれてるし?なんかあげてもいいかなーとも思ったり思わなかったり…」
「ミクトランに何かあげたいんだね」

無言のミク。ヒューゴさんがくすくすと上品に笑う。話を聞いてくれながらも、チョコとメレンゲを合わせてオーブンで焼く直前になっている。

「うぅ…、はい」

ケーキの型にチョコとメレンゲを合わせた生地を流しいれる。オーブンに投入。何十分…何時間かしたら出来上がるんだろうな。

「ミク、ほしいものある?」
『私が操ることのできる体』
「ひ、ひどい…。真面目に聞いてるのに!」
『…欲しい物、か…』
「ミク?」

『まるで思い浮かばん』