※早々の死ネタ
肉を貫く感触。元より覚悟はしていた。実の姉であっても、かつての友であっても、立ちふさがるのなら殺したって構いはしなかった。最愛の人、マリアンの為なら。
ルーティを庇ったナマエは、僕の方へ倒れ込んだ。未だシャルが埋まる体。抱きとめた手のひらを見ると、血に塗れていた。
「お姉さんを殺しちゃ、だめだよ」
ナマエは僕の顔に手を添える。致命傷を受けたというのに、笑みを浮かべている。その内、咳き込みだし、僕の服に血を吐く。それでも、俯いた体を起こし、僕の目を逸らそうともしない。
誰かが自分を責めている。君が望んでいたものはこれか。誰かが彼の名を叫んでいる。誰かがもうやめろよ、と泣き叫んだ。
無慈悲にも終わりを告げる音が鳴る。地響きと共に、濁流がこちらへ流れこもうとしている。
「ごめんね、気付けなくて、一人にしたね」
茶色い海水が足に浸っていく。立ちすくむ僕を、シャルごと抱きしめる。
膝まで浸かった時には、叫びが遠のいているのが分かった。
「エミリオ、いっしょにいるよ」
死ぬ間際だというのに、微笑みは優しいものだった。
この瞬間に彼は、僕を愛していたのだとやっと気付いたのだった。