主様はいつも、穏やかな笑みを浮かべて僕たちを見守っています。その隣にはいつも長谷部さんがいました。長谷部さんはさいしょから近侍でした。長谷部さんの次にやってきたという、薬研がそう言っていました。
近侍を誰かに代わった事は一度もありません。でも、誰も文句はいいません。だって、長谷部さんは一番に主の信頼を得ていて、長谷部さんも一番に主の事を想っているのだから。この本丸にやってきたら、早々に知る事なので、野暮なことはしません。
長谷部さんは大体、こわい顔をしている人。戦に出る際には練度の低い僕たちを率いて、敵との戦い方を教えてくれます。そういう時は厳しいけど、意外にも僕たちにやさしくしてくれます。不器用な人なのか、笑顔をみせたことはありませんが、戦が終われば褒めてくれます。薬研と乱はなんだか不服そうです。子供扱いされるのが嫌なのかなあ、と最初は思っていました。
長谷部さんの練度はうんと高い。この本丸にいる僕達より、一回り、二回りも強さが違う。
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本丸にはずっと雨が降っている。
僕はいつかこの本丸にお日様がさしてくれたらいいなあ、と思いながらてるてる坊主を作る。天気が晴れたら、主様もきっと笑ってくれるんだろうなあと、てるてる坊主に手をあわせる。それに晴れたら、主様といっしょに外で遊べるんだ。
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いつもここが雨の秘密を知りたい。秋田は言う。
知っても意味のない秘密だ。長谷部は言う
知らない方がいい秘密もあるよ。主は言う。