リオン「推しが死んだ日」

※学パロ

 今週のじゃあんぷで推しが死んだ。学校の帰りにコンビニで買ったじゃあんぷ。推しはきっと大活躍だろうなとワクワクしながらページを進めるにつれ、敵の攻撃に追い詰められていく推し。いやいや最後ワンチャンあるで、と思いながらも嗚咽のような声が漏れていく。そして、最後は号泣。え、うそ、あなたが死ぬなんて。私は明日からどうやって生きていけばいいのか…。

 「ごはん」と呼ばれ席に着くも、当然夕食は入らない。それに泣きはらした顔。家族に心配されるも、ことを話せば、なんだそんなことかと「心配して損した」といわんばかりの態度を取られてしまった。うちの家族にオタはおらず。推しの事について考えながら布団に入った。今までの推しの雄姿が頭からこびりついて離れない。どうして彼が死なないといけなかったのか。敵キャラお前が突如爆発したらよかったんだ…。お通夜である。結局夜も寝れなかった。

 推しが死んだから学校を休みますという訳にもいかず、家から閉め出され、学校へ。おはようございます、と声をかけてくれたフィリアが私の名を呼ぶ。

「ナマエさん、何かありました…?」

 力なく首を振る私に、フィリアは慌ててルーティの腕を引いてきた。なんだかんだ茶化してくれそうなルーティにさえ、本気で心配される始末。

「あんた、どうしたのよ。財布でも落としたわけ…?」

 いや、それは違う。またも首を振る。友達が心配してくれていることに涙腺が緩くなる。私の眼から涙がひとつこぼれおちた。二人が息をつめる気配。正直に話せたらよいのだが、私がじゃあんぷの愛読者であることはクラスの誰も知らない。それに本当のことを話したら違う意味で心配されそうだと思い込むほど疑心暗鬼になっている。(大体家族のせいである)話してなるものか…。

「もしかしてリオンにいびられた?」

 ルーティが顎に手をあて、何かに気づいたように発した言葉。それに首を振る。いやそれも違う…。…でも、確かにいびられはした。リオンと私は昨日の日直の当番だった。個人的にリオン、こわいやつと思っている私は、率先して黒板消しや先生の手伝いを買って出ていた。「これやるね」「あれやるね」と下手に出ていた。早く仕事を終えてコンビニに行こうと思っていた。そんな気持ちから、焦りが出たのか、最後の最後でクラスのプリントを廊下にぶちまけた。リオンには青筋立ててキレられた。へらへら笑いながらと「ごめんね」とプリントをかきあつめてながら私は脳内でリオンおっかねえ~と恐れおののいていた。
 ということだから、いびられ…怒られ…?は、した。だから何だという話ではある。うるせ~知らね~と涙がも一つこぼれたところで、目の前に威圧感と共に影がかかる。

「誰が誰をいびったって?」
「リオン!」
「よく人前で泣けるもんだな」

 ご本人が聞きつけてやってきてしまった…。なんてことだ。それに悪いセリフったらないよ。これではリオンのせいで泣いているような雰囲気である。いや、違う。私は推しのためにとうとい涙を流しているのだ。頑張って声を振り絞る。

「あの、リオンのせいじゃないからね…?」
「では、ナマエさん、何があったんですか?私たちでよければ話を聞きます!……でも、無理にお聞きするのは良くないですよね」
「フィリア……」
「そうね、ナマエが話したくなったらでいい。その時全力で聞いたげるから」
「ルーティ……!ごめんね……」

 クラス中に「何かあったんだな…」のざわざわを残して、HR開始のチャイムが鳴った。フィリアとルーティは席への戻り際、しんどかったら無理しないで、と優しい言葉をかけてくれた。リオンは私を一瞥して、席へ戻っていった。

***

「まさかスタンのプリントが一枚ないとは…」

はい、ディムロス先生にプリントが一枚ない事を指摘され、昨日ぶちまけた事が関係しているので、容赦なく二人で探すよう命じられた。なんてことだ。傷心ではあるが、責任はとらないといけない、けど……。リオンと一緒かあ…。

「ごめん……」