好きなもの詰め込み

死ネタ
ウテナとかサイレントヒル2とか好きなものをつめこみました。趣味です。

さようならまた会う日まで

人は死に焦がれる。好奇心は剣と代わり、私の胸に何本も何本も突き刺さっていく。
扉の向こうに行きたい、先を塞ぐ私が邪魔なのだろう。
このまま一人で、ずっとここに居るんだろうか。

✳︎✳︎

『あなたが守ろうとした扉で、私は待っている。
あなたが迎えにきてくれるのを待っている。』

 卒業式の日から、違和感を覚えながら生きていた。なぜ僕はまだ息をしている?自分でもおかしいことを考えているのを自覚している。それでも、こうして生きているのが不思議なのだ。
 それと、ぽっかり穴が開いたような感覚。大切な何かがなくなったのに、それがなんなのか分からない。
 三年生となり、また順平と岳羽と同じクラスになって…二年の時よりピリピリした空気を感じながらも、楽しく過ごしていた。
 そんなある日、卒業式に事切れた女の子から手紙がきた。同級生の女の子だった。…それくらいしか記憶がない。それなのに、手紙を読んだ時心臓を掴まれたみたいな心地に陥る。彼女が僕を待っている。それなら、会いにいかなくては。

 読んでいた手紙から顔をあげて、自分の部屋の異変に気付く。血のような、錆のような汚れがこびり付いた景色になっていた。
 部屋から出ても、廊下も同じような景色。床も、階段も錆びた鉄板になっている。

 ロビーに降り立つと、玄関の前で立ち尽くす女子生徒を見つけた。同じ、月光館学園の制服を身につけている。
 床を鳴らす足音に気付いて振り向いた生徒は、亡くなったあの子にそっくりだった。言葉をなくしている間に、訝しげに声をかけられる。

「えっと、あなたは?」
「…ミョウジさん…?」
「え?そうだけど…」
「どうして、亡くなったんじゃ」
「私が死んでるって?」

 少しして、「こうして生きてるのに、ひどいこと言うね」と彼女は苦笑いするものだから、慌てて謝った。

「まあいいや、あなたはどうしてここに?いつの間にかここに立ってて、どうしようかと思ってたの」
「僕も身に覚えがなくて…。そうだ、ミョウジさん、この手紙を書いた覚えは?」

 封筒の宛名を見せ、手紙を見せるも、彼女は横に首を振る。

「たしかに私の名前だけど…書いた覚えはないよ」

 会えたと思ったが、彼女は何も覚えていないのだろうか。

「その子、死んじゃってるんでしょ?なら、会えっこないよ」

 彼女は手紙の主を自分でない別人と解釈しているようだ。

「いや、でも…」
「そんなことより、早くここから出よう。やな雰囲気だし。……でも、扉が開かないの、南京錠が何個もかかってて、鍵が必要みたい」

玄関の扉は鎖で覆われ、南京錠が鎖の間にぶら下がっている。その数、三個。

「私も協力するから、鍵探しを手伝って」
「…分かった」
「ありがとう、えっと…」
「僕は、有里湊」
「そっか、よろしくね!有里くん」

 ぐらりと視界が歪む。どこかで、この声で僕の名前を呼ばれたような気がする。

「大丈夫?」

 呆けている間に至近距離から顔を覗き込まれていた。思わずのけぞる。

「まずは一緒にこの場所から調べていこっか」

悪戯っぽく微笑まれ、顔が熱くなるのを感じた。