好きな子にちょっかいをかけるタイプの有里君

※小さい頃好きな子にちょっかいをかける悪ガキタイプの有里君が出てきます。
例のごとく途中で端折ります。
解釈違いの方はスルーしてね

 「俺の好きな子、なんやかんやで俺のこと好きになってくんないなあ」みたいな歌詞が入った歌が流行っている。他力本願で、ちょっと情けないやつだなと思っていた。
 だが、初恋相手に再会し、再び恋をするとその歌詞に共感せざるを得なくなり、CDの前で土下座することになるのだった。
 だって、僕の好きな子は…。

 転校先の高校で、昔片思いしていた子と再会した。その子は、僕を見るなり、顔をしかめて、頭を抱えた。
 それもそのはず、幼い頃はその子にちょっかいをかけていた。名前をもじって変なあだ名をつけたり、揶揄いながらつきまとったりもした。「小さい子のすることだから許してやって」という大人はいても、許すか許さないか決めるのは当の本人だ。
 長いことそうしていると、ついには怒りを爆発させ、「湊くんなんて大嫌い!」とナマエを泣かせてしまった。泣かせたことや、「大嫌い」にショックを受け、謝ることもできないまま、…色々あって僕は転校することになり、今に至る。

 謝ろうにもナマエは僕が近づこうものなら逃げ、翌日にはイヤホンと音楽プレイヤーを完備していた。

――――――

「二人って知り合いなの?」
「あー、ゆかりッチも転入組だから知らないかあ」
「……あんたも中学からここに来たんだもんね」
「俺が解説しよう」
「お、友近」

 かくかくしかじかと二人が居ぬ間に、経緯を説明する友近。ゆかりが「それ好きな子いじめるやつじゃん」と引き気味に呟き、「それな」と順平が乗っかる。

「でもなんで有里君、転校したの?」

 それまで得意げに話していた友近だったが、急にトーンダウンし、あー、と頭を掻く。

「……有里の両親、亡くなったんだよ、事故で」

 話聞いていた二人もバツが悪そうな顔になった。

  ここ、月光館学園は小中高一貫校である。転入してきた者以外は皆、小学校の頃からのナマエと湊の確執、そして転校するきっかけとなった湊の境遇を知っている。
 湊が転入してきた噂は徐々に広がっていき、小学校から二人を知っている者たちは湊のことを軽蔑したり、まあ小学校のことだしね…と気にしなかったり、様々な反応を示しているが、大概は、湊が両親を亡くしていることもあり、彼に気を遣って接している。哀れんでいるのだ。