リオン / BL夢 / 新解釈チョコ処理法

※「チョコ処理法」のリメイク

 本日はバレンタインデー。乙女たちがざわめくこの日、俺はとても、とても出勤が億劫だった。モテないのはいい、食堂のおばちゃんに義理で一個もらえる程度の男。(もちろんおばちゃんのチョコレートだってとてもありがたい)
 しかし、俺の幼馴染兼恋人がモテにモテて困っているのだ。美少年客員剣士、さらには服装は王子様ルックときてセインガルドの女性たちは彼に夢中なのである。
 そんな彼の幼馴染なことが周りに知れ渡っていることにより、俺は「チョコレートをリオン様に渡してきてくれませんか!?」と頼まれる役になりがちである。近寄りがたいオーラや言動があるから、へいぼんそうな俺にしわ寄せが来るのだ。

 これまでのバレンタインデーはどうしてきたかというと、家をでるとき、城で勤務するとき、家に帰る時、常時「リオン様宛チョコレートはこちら」と紙をはった竹かごを背負っていた。ぽいぽいと可愛い包紙のプレゼントが入れられ、毎年玉入れのかごの気持ちになる。

 リオンは渋々ながらも代理でチョコを受け取ることを黙認していた。俺が気が弱いせいで断れないのを知っているからだ。

 その後、山盛りに積んだチョコレートをヒューゴ邸に持って帰っては、使用人総出でラッピングを破り、可愛く作られたチョコレートを砕いて溶かして、チョコレートフォンデュ祭りになるのが恒例。フルーツやマシュマロと一緒に頂いている。ぐつぐつチョコレートを沸騰させたので、安全性に問題はないだろう、多分。捨てるのもったいないしね。

 ちなみにリオンはフォンデュ祭りに参加しない。他人が作ったものなんか食えるか、と言っていた。(全女性に聞かせてやりたい)そんなことを言いながらも、甘い匂いが漂う中美味しそうに食べる使用人たちを何回かチラ見していた。

 それとヒューゴ様はバレンタイン商戦に参入しているので必ず家にいない。だから使用人たちもはっちゃけられるのだ。レンズ製品でお菓子作りを簡単にできる技術として、自動の泡だて器や、かわいいラッピングも工場で生産しているのだとか。……つっこみどころだらけだが、多くは語るまい。

 話が変わって、リオンに直接チョコレートを渡しに行く猛者は、大体泣きながら去っていく。
 リオンの前に飛び出し、「リオン様、受け取ってください!」とチョコレートを差し出す健気な女性に「いらん」の一言だけ告げ、素通りだった。しくしくと泣き出す女性、近くで見守っていたのか女性の友達が飛び出してきて慰めてやる光景を、これまで何度見たろうか。いつか刺されるぞ…とヒヤヒヤしてしまう。まあでも激つよなので気配を察知して瞬時に体術で締め上げるんだろうな…。

🍫

 というわけで話が脱線しすぎたが、今年はリオン直々に通達され、もうチョコレートを受け取らない方針に変えるそうだ。使用人たちがえ~っと残念そうな顔をしていた。正直、俺はかごを背負う必要がなくなってホッとしたが、たしかにフォンデュが美味しかっただけに惜しい気持ちも分かる。
 「急にチョコを絶対受け取るな、だなんて、エミリオってばどうしちゃったのかしら」とマリアンが残念そうに息をついている。俺とリオンが恋人になって初のバレンタインなのが関係している…かもしれない。